公共政策研究
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研究ノート
情報流通構造の「政策ネットワーク分析」――エコマーク基準策定を例として――
平原 隆史
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2006 年 6 巻 p. 147-156

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抄録

環境や福祉といった領域は,取り組むべき政策課題が複雑な利害関係を持っている。これら領域では,少数政治主体による政策の立案や執行が難しく,多種多様な政治主体が政策過程に参加する多元主義的な政策過程となった。またこれら政策内容が複雑な領域ては,問題の現状を正確に把握するため,政策として情報を用いた手法や住民参加の手法が使われるようになった。しかし,情報的手法や参加的手法の評価について,多くの既存の評価手法が少数主体の政策参加をモデルとしているため,十分な分析ができない。そこで政治学で定性的記述を行う政策ネットワーク論と,数理社会学で定量分析を行う社会ネットワーク分析を統合した政策ネットワーク分析を基に,多種多様な主体が参加する情報を用いた政策の評価法を考案した。この政策ネットワーク分析は,ネットワーク構造とその中の主体の役割の双方を定量的に評価することがでぎる。本論文では環境政策の中でも情報的手法を用いた環境ラベルを例にとり,政策ネットワーク分析を行った。環境ラベルの基準形成過程を分析した結果,基準形成過程の諸要因が政策主体の情報流通に果たす役割や,情報流通のネットワークの構造に与える影響が明らかになった。また,政策ネットワーク分析の応用の一例として,事前の政策シミュレーションを示し,事前評価や政策提言への拡張の方向件も示した。

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