公共政策研究
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特集 政策の総合調整
経済財政諮問会議による内閣制の変容
飯尾 潤
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2006 年 6 巻 p. 32-42

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抄録

小選挙区制の定着による首相権限の実質化や,橋本行革をはじめとする行政改革を背景として,小泉内閣において内閣制は大きな変容を遂げた。この小泉内閣における変容にもっとも大きな意味を持ったのが,経済財政諮間会議の活用である。民間議員ペーパーをもとに各省庁積上げ式以外の方払で内閣レベルのアジェンダを設定し,また閣僚間の実質的な討論を受け,首相自らが裁断を下す場面を増やして閣議を実質的に活性化したのである。さらに内閣の動向に対応し,自民党内でも骨太方針に対応した議論を行う慣例ができるなど,政府—与党関係も変化した。その結果として日本の内閣制は,議院内閣制の特徴である一元性の回復により,首相を中心とする権力核の形成が促進され,総合性を発揮しやすい方向への変化しつつある。

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