2008 年 7 巻 p. 59-72
経済のグローバル化,ハイテク先端技術開発の加速化等に伴い,軍民両用技術の貿易管理は,重要になりつつある。本論文では,まず,日本の安全保障貿易管理の制度と運用について概観する。その際,現実の技術の担い手か企業等の民間主体であるため,企業の自主管理等を活用した政府と民間主体の連携の確保が重要である点に着目する。その上で,アジアヘの国際展開や多様な技術移転形態への対応・国境措置を超えた対応といった課題に関して概観する。最後に,安全保障貿易管理の対象が拡散する中で,制度設計とその連用に際しては,様々な公共政策目的間のトレードオフを正面から扱わなくてはならないようになりつつあると論じる。