抄録
コンカレントエンジニアリングにおける情報の共用とこれを組織の知識として再利用していくこと(知識化)の重要性jを考慮して,設計における知識データベースの形態について考察する.設計の難しさの本質は,これが「逆問題解析」,すなわち要求機能実現のために必要な設計諸元を決定する行為であることに起因する.設計の質と効率を高めるためには,要求機能実現に必要な「知識」を参照可能とし,また妥当な思考様式を支援する環境を整備しなければならない.これを実現する方法として,FTAと線図による機能と設計諸元の定性かつ定量的関係の知識を基礎とする論理的思考の環境整備を提案する.また,この要点として要求と設計諸元との論理的関係を明らかにする.「中間表現」の重要性を指摘できる.以上の考察に基づく設計のための知識・データを収集・蓄積することにより,組織としての設計情報の蓄積・継承が可能となり,情報の共用と知識化の実現ができる.