1999 年 29 巻 2 号 p. 79-89
工程解析において品質特性とともに環境要因, 材料特性, 処理条件, 中間特性といった要因系変数が連続変数として観測される場合を扱う.特性と要因の関係に加えて要因間の関係を記述するのに, 因果ダイアグラムと線形構造方程式モデルを用いる.特性をねらいの範囲に調整・制御するために, ある処理条件に対して外的操作を加える状況を考える.この設定において統計的因果分析の最近の成果である介入効果の推測理論を, 工程解析の場面に適用する基本的フレームワークを与え, 回帰モデルで介入効果を識別するための変数選択基準を明らかにする.また, 線形構造方程式モデルにおいて, 平均に加えて分散に対する介入効果を明示する.具体的な適用例に通してこれらの有効性を考察する.