抄録
本論文では,線形回帰分析を実施する際に多重共線性が生じている状況において,説明変数の選択を行う問題を考える.この問題を解決するために,本論文では,回帰係数ベクトルの不偏推定量の共分散行列が,残差平方和と説明変数に関する計画行列から構成されていることに着目する.そのうえで,この共分散行列を利用した3つの変数選択規準を提案し,これを予測型主変数選択規準と呼ぶ.予測型主変数選択規準を用いた変数選択法は,仮説検定や恣意的なパラメータ設定に基づかないという点で従来の変数選択法とは異なる.また,適用例と数値実験をとおして予測型主変数選択規準と既存の変数選択規準を比較し,予測型主変数選択規準を用いることで予測精度の低下を可能な限り抑えながら多重共線性問題を回避できること,また,サンプルサイズが全体の説明変数の数よりも少ない場合であっても,目的変数を予測するのに有用な説明変数の数よりも多い場合には,予測型主変数選択規準を用いた変数選択法が適用可能であることを示す.最後に,予測型主変数選択規準の非線形回帰分析への拡張可能性についても考察する.