抄録
本研究では,第三者による詳細な調査が行われている航空機の事故を例に取り上げ,事故,人の不適切行動,局所要因および組織要因の関係を一定の枠組みに沿って横断的に分析するための方法を提案した.この方法は,Reason のスイスチーズモデルと人間工学で用いられている人の不適切な行動のタイプと統計的な傾向を把握する集積RCA(Root Cause Analysis)の考え方とを組み合わせたものになっている.また,提案した方法を実際の事故・インシデントの事例に適用してその有効性を検討した.結果として,事故・インシデントに関わっている人の不適切な行動には特定のタイプのものが多いこと,各タイプの行動にはそれぞれ異なった局所要因および組織要因が関係していること,局所要因と組織要因の関係には特定の傾向があることなど,事故を防ぐためのマネジメントを強化する上で有用な事実がわかった.したがって,提案した方法は複数の事故を横断的に分析する上で有効であると考えられる.