2008 年 57 巻 5 号 p. 287-294
植物体の物質動態をリアルタイムで2次元的に解析できれば、植物の物質輸送、シグナル伝達のメカニズムをより詳細に明らかにすることが可能となる。そこで著者らは植物が生きたままの状態で、取り込ませたβ崩壊核種のRI標識化合物をリアルタイムでイメージング可能なシステムを新たに開発した。このリアルタイムオートラジオグラフィーシステムはCsIシンチレータをファイバープレートに蒸着したFOSとシングルフォトンを検出可能な超高感度カメラGaAsP imaging intensifierで構成している。このシステムの解像度(視野5×5cmの場合)はImaging Plateとほぼ同様であったが、単位時間あたりのラジオアイソトープの検出感度は10倍以上の高感度を示した。このシステムを用いた大豆の32P標識リン酸の吸収過程を画像解析した結果、葉の各部位における経時的な濃度変化の解析結果を解析例として示した。