RADIOISOTOPES
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57 巻, 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
原著
  • 大石 晃嗣, 小迫 和明, 小林 有希, 園木 一誠, 中村 尚司
    2008 年 57 巻 5 号 p. 277-286
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/29
    ジャーナル フリー
    加速エネルギーが10MeVを超える医療用リニアック施設の遮へい設計では,光核反応によってターゲットで中性子が発生するが光子の線量に対して無視できるので,一般には中性子の遮へい計算は行わない。しかしながら,ターゲットから発生する光子のみを考慮した遮へい設計を行ったところ,遮へい壁の外側で計算を大きく上回る中性子及び光子が観測された。そこで,リニアック施設の放射線場の実測を行い評価したところ,主として遮へい体内の遮へい鉄板で光核反応による光中性子が生成し,後方のコンクリートでその中性子が捕獲され,2次γ線が発生していることが明確になった。この挙動をモンテカルロ計算コードMCNPXで解析したところ,実測値とよい一致をしたことから,この種の遮へい設計にはモンテカルロ計算コードが極めて有用であることが示された。
  • 頼 泰樹, 菅野 里美, 林 芳武, 大矢 智幸, 二瓶 直登, 中西 友子
    2008 年 57 巻 5 号 p. 287-294
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/29
    ジャーナル フリー
    植物体の物質動態をリアルタイムで2次元的に解析できれば、植物の物質輸送、シグナル伝達のメカニズムをより詳細に明らかにすることが可能となる。そこで著者らは植物が生きたままの状態で、取り込ませたβ崩壊核種のRI標識化合物をリアルタイムでイメージング可能なシステムを新たに開発した。このリアルタイムオートラジオグラフィーシステムはCsIシンチレータをファイバープレートに蒸着したFOSとシングルフォトンを検出可能な超高感度カメラGaAsP imaging intensifierで構成している。このシステムの解像度(視野5×5cmの場合)はImaging Plateとほぼ同様であったが、単位時間あたりのラジオアイソトープの検出感度は10倍以上の高感度を示した。このシステムを用いた大豆の32P標識リン酸の吸収過程を画像解析した結果、葉の各部位における経時的な濃度変化の解析結果を解析例として示した。
  • 石川 奈緒, 高橋 知之, 内田 滋夫, 田上 恵子
    2008 年 57 巻 5 号 p. 295-303
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/29
    ジャーナル フリー
    土壌中の放射性核種の移行を評価するモデルパラメータとして,土壌-土壌溶液分配係数(Kd)が用いられる。Kdは土壌特性の違いにより異なるため,いくつかの土壌特性値からKdを推定する手法を開発することは重要である。本研究では,安全評価においてもっとも重要な核種の一つである放射性ストロンチウム(Sr)のKd推定手法の開発を試みた。Kdは,日本各地から採取した142試料の農耕地土壌(水田63,畑79)についてバッチ収着実験から求め,土壌特性として,pH,陽イオン交換容量,置換性Ca濃度,粘土含量,土壌元素濃度,水溶性イオン・元素濃度などを測定した。まずKd値と各土壌特性との関係を明らかにするため積率相関分析を行った後,重回帰分析を行った。その結果,SrのKdに対しpH,置換性Ca濃度,土壌中Ca濃度,水溶性Ca濃度の4変数が大きく寄与していることが示された。
ノート
資料
  • 小川 雅之, 細田 正洋, 福士 政広, 小柏 進
    2008 年 57 巻 5 号 p. 313-320
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/29
    ジャーナル フリー
    東京では通勤手段として地下鉄の利用率が高いことから,地下鉄車内の線量率を把握しておくことは保健物理学的に重要である。そこで,都内の地下鉄12路線について空間γ線線量率の測定を行った。その結果,最大値(36.5nGy/h)は最小値(23.3nGy/h)の1.6倍であった。また,車内の線量率は,車外より33%低い値であった。更に,地下鉄線内の線量率は深さに依存せず,地下構造物やホームの構造物中に含まれる天然放射性核種濃度に依存すると考えられた。
講座
加速器施設における放射線管理
連載講座
中性子イメージング技術の基礎と応用
(応用編第12回)
(最終回)
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