土壌中の放射性核種の移行を評価するモデルパラメータとして,土壌-土壌溶液分配係数(K
d)が用いられる。K
dは土壌特性の違いにより異なるため,いくつかの土壌特性値からK
dを推定する手法を開発することは重要である。本研究では,安全評価においてもっとも重要な核種の一つである放射性ストロンチウム(Sr)のK
d推定手法の開発を試みた。K
dは,日本各地から採取した142試料の農耕地土壌(水田63,畑79)についてバッチ収着実験から求め,土壌特性として,pH,陽イオン交換容量,置換性Ca濃度,粘土含量,土壌元素濃度,水溶性イオン・元素濃度などを測定した。まずK
d値と各土壌特性との関係を明らかにするため積率相関分析を行った後,重回帰分析を行った。その結果,SrのK
dに対しpH,置換性Ca濃度,土壌中Ca濃度,水溶性Ca濃度の4変数が大きく寄与していることが示された。
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