RADIOISOTOPES
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SPE電解法におけるトリチウム分離係数への磁場と温度の影響
高橋 洋輔関谷 喜史今泉 洋斎藤 正明福井 聡狩野 直樹
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2009 年 58 巻 7 号 p. 469-475

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抄録

環境水中のトリチウム濃度を測定する上でトリチウムの濃縮は重要な項目の一つである。しかし,固体高分子電解質を利用した濃縮法(SPE電解法)においてはトリチウム分離係数(βa)があまり大きくないため,更なる性能の向上が求められている。そこで磁場と温度が電解濃縮に及ぼす影響に着目し,次のように実験を行った。SPE電解法に基づく電解装置の電解槽を,磁場と電解電流の向きが直交するよう磁場内に設置し(直交条件),磁束密度0~5T,25~35℃の温度一定条件にて電解濃縮を行った。その結果,以下のことが明らかになった。(1)直交条件において,βaは磁場の影響を受ける。(2)磁束密度0~4Tの範囲で,磁束密度の増加に伴いβaも増加する。(3)直交条件において,磁束密度の他に温度もβaに影響を与える。(4)温度がβaに影響を与える理由として,磁場と関連した影響,HTOの解離反応の温度依存性が関係していることが予想される。

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