2010 年 59 巻 2 号 p. 75-79
ナタネ(Brassica napus L.)植物個体内における硫黄及びリンの分布を調査するために,35S標識硫酸および32P標識燐酸を用いてダブルトレーサオートラジオグラフィを行った。35S及び32Pの崩壊によって放出されるβ線のエネルギーの差を利用し,35S及び32Pの両方が示されたイメージングプレート像と,ほとんどが32Pを示すイメージングプレート像を得た。画像解析により両者の像の差から35Sのみの存在を示す像を得ることができた。35Sは,葉の縁並びに根先端における濃度が高かった。32Pは,植物体全体に分布しており,特に地上部の生長点付近において葉よりも高い濃度が示された。