RADIOISOTOPES
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59 巻 , 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • 石橋 弘規, 山脇 正人, 広瀬 農, 野田 章彦, 菅野 里美, 斉藤 貴之, 増田 さやか, 瀬山 祥平, 田野井 慶太朗, 中西 友子
    2010 年 59 巻 2 号 p. 75-79
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル オープンアクセス
    ナタネ(Brassica napus L.)植物個体内における硫黄及びリンの分布を調査するために,35S標識硫酸および32P標識燐酸を用いてダブルトレーサオートラジオグラフィを行った。35S及び32Pの崩壊によって放出されるβ線のエネルギーの差を利用し,35S及び32Pの両方が示されたイメージングプレート像と,ほとんどが32Pを示すイメージングプレート像を得た。画像解析により両者の像の差から35Sのみの存在を示す像を得ることができた。35Sは,葉の縁並びに根先端における濃度が高かった。32Pは,植物体全体に分布しており,特に地上部の生長点付近において葉よりも高い濃度が示された。
  • 大内 浩子, 近藤 泰洋, 加賀 勇治, 阿部 美津也
    2010 年 59 巻 2 号 p. 81-91
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル オープンアクセス
    3種類のイメージングプレート,IP(BAS-TR,BAS-MS及びST-VI)に生じた消去不全光への紫外ー白色蛍光灯光同時照射法の消去効果を調べた。10MVと80kVの2種類のエネルギーのX線を,線量をそれぞれ0.987Gy~291Gy,53.5μGy~1.028Gyの間で変えてIP試料に照射し,本法を繰り返して消去を行った。すべてのIP試料で消去不全光を未照射レベルまで消去することができ,0℃で20日間放置しても有意な浮き出し光は観察されなかった。表面保護層と厚い蛍光体を持つST-VI試料では,未照射レベルまで消去するのに一番多い繰り返し回数を要した。一方,白色光のみによる従来の潜像消去法では,消去不全光を未照射レベルまで消去することはできず,このような試料では0℃で20日間放置後わずかではあるが浮き出し光が観察された。
  • 李 冲, 狩野 直樹, 上野 悠一, 花房 充, 焦 玉〓, 今泉 洋, 渡部 直喜
    2010 年 59 巻 2 号 p. 93-102
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル オープンアクセス
    新潟県における降水の起源,供給経路及び地域的・季節的特徴について把握するため,新潟県降水の酸素安定同位体比(δ18O)の短期間での経時変動が年変動,季節変動とともに調査された。降水は,1999年から2008年まで,主として新潟大学屋上において,ろ過式採水装置により採水された。更に,連続採取降雨については,後方流跡線による解析も併せて行った。
    その結果,新潟県における降水について,主として以下のような特徴が明らかになった。(1)δ18O値は,-25.14‰~-1.60‰の変動を示す。なお,各年の平均値は,-8.37‰(2006年)~-7.33‰(2001年)であった。(2)地域間の比較では,臨海地域(新潟市,上越市)あるいは海洋地域(佐渡市)のδ18Oの平均値は,内陸地域(下田村,長岡市)に比べて,高い値を示す。(3)δ18O値は,概して,梅雨期に低く,夏期に相対的に高く,冬期に低い値を示す傾向が見られた。(4)連続採取降雨では,Rayleighの蒸留モデルから予想されるように,時間とともにδ18Oが下降する傾向が主要な特徴で,特に台風時の試料においては,そのような傾向を示した。
連載講座
中性子回折の基礎と応用
  • 野田 幸男
    2010 年 59 巻 2 号 p. 103-115
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル オープンアクセス
    中性子回折を用いた単結晶構造解析の手法を基本的なところから解説する。標準試料であるNaClを例に取りながら,構造解析プログラムを用いた方法や手計算での解析手法なども示す。また,実際に構造解析を始めるときに必要な情報も詳しく述べる。将来導入されるであろう二次元検出器やパルス中性子を用いた構造解析についても言及する。
  • 鬼柳 亮嗣
    2010 年 59 巻 2 号 p. 117-125
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル オープンアクセス
    中性子とX線を相補的に利用して,水素結合型誘電体である5-R-9-ヒドロキシフェナレノン(R=メチル基,臭素;MeHPLN, BrHPLN)の研究を行った。中性子回折データからは原子核分布,X線回折からは電子分布を求めることができる。水素結合中の水素原子の原子核分布と電子分布を比較すると,二つの分布の重心が一致していないことが明らかになり,そこに局所的な分極が発生していることがわかった。その大きさは典型的な強誘電体であるBaTiO3の分極と同程度であった。室温においては,水素原子が無秩序状態であることにより,この分極は方向に関して無秩序な状態にある。低温で実現するMeHPLNの反強誘電性は,水素原子の秩序化に伴う局所的な分極の反強誘電的な秩序化に起因することが明らかとなった。一方,BrHPLNでは,二つにわかれた電子・原子核分布となり,水素原子の秩序化は観測されなかった。これは,水素結合中の水素原子がトンネリング状態にあることを示唆している。
    MeHPLNとBrHPLNの相転移を,実験的に求められたパラメータのみを用いて,トンネリングモデルに基づき検証すると,それぞれの相図を非常に良く再現できることが示された。つまり,これらの物質の相転移はトンネリングモデルで説明できることが明らかとなった。
  • 堀金 和正
    2010 年 59 巻 2 号 p. 127-134
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル オープンアクセス
    中性子線及び放射光X線を相補的に用いることにより,La1.5Ca0.5CoO4の結晶構造,電荷秩序パターン及びCoの価数の絶対値が決定された。収束電子線回折測定から特定した空間群A2mmとBm2mの2ドメインを考慮した構造解析により,電荷秩序相の結晶構造を中性子散乱実験により決定した。特に,二つのCoサイトを持つ構造であることが明らかになり,Co2+/Co3+が市松模様型に配列することを示唆する結果が得られた。また,共鳴X線散乱実験によりCo2+/Co3+の市松模様型の電荷秩序に対応した共鳴ピークを(3,0,0)において発見した。中性子散乱より求めた結晶構造パラメータを用い共鳴散乱強度の絶対値の評価を行い,Coの価数がCo2+/Co3+にほぼ完全に秩序化していることを明らかにした。
  • 菅原 洋子
    2010 年 59 巻 2 号 p. 135-143
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル オープンアクセス
    核酸の構成単位であるヌクレオチドやヌクレオシドは水和物として結晶化するが,結晶周りの相対湿度に依存して結晶水数が変化し,相転移が誘起される。また,一部の系では,室温において結晶水の位置に顕著な乱れが存在し,その秩序化と相関した相転移が200K近傍で観測される。中性子結晶構造解析により,ヌクレオチド水和物に共通する水和構造,水素結合網の長距離の相関を持った切り替え,水素結合をアンカーとする結晶水の揺らぎなどの描像などが明らかになった。
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