RADIOISOTOPES
Online ISSN : 1884-4111
Print ISSN : 0033-8303
ISSN-L : 0033-8303
放射線治療
体幹部定位放射線治療
大西 洋佐野 尚樹栗山 健吾小宮山 貴史萬利 乃寛荒屋 正幸青木 真一斉藤 亮前畠 良康冨永 理人大栗 実彦小野原 幸司郎輿石 強太渡部 伊織荒木 力
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2012 年 61 巻 1 号 p. 31-43

詳細
抄録

定位放射線治療は,「小腫瘍に対して高精度に短期で3次元的に集中的大線量を投与する」と定義され,「切らずに治す」ことが可能となった。体幹部定位照射は,(1)1990年代半ばから急速に発展した照射装置の進歩,(2)固定精度の向上,(3)画像誘導技術,(4)呼吸性移動対策などによって,周囲臓器への危険を回避しながら腫瘍への投与線量を上げることが可能になり実現した。定位放射線治療は頭蓋内では約40年の歴史があるが,体幹部病変は固定法・呼吸性移動・線量計算の問題点によりまだ15年程度の経験しかない。それにもかかわらず,小型の肺癌・肺転移・肝腫瘍を中心に安全性と有効性について定位放射線治療の多くの臨床経験が積まれつつあり,特にもっとも治療経験が蓄積されているI期肺癌では,エビデンス度は高くないものの手術と遜色ない成績も報告されている。本稿では,体幹部定位放射線治療について概説し,なぜ「手術に匹敵する可能性があるのか」について考察した。

著者関連情報
© 2012 by Japan Radioisotope Association
前の記事 次の記事
feedback
Top