内部被ばくの線量評価は,そのシステムにヒトの生理学的・解剖学的特性が組み込まれており,本質的に複雑である。さらに,被ばく源である放射性物質に関しても,化合物の種類,エアロゾルの粒子径など,その物理・化学的性質の多様性が被ばくの状況を一層複雑なものとしている。本稿では,内部被ばくの防護量について,外部被ばくとの本質的な相違点をいくつか取り上げ,それらに対してどのような考え方に立ち内部被ばくの防護量の概念が確立されているかについて述べるとともに,実効線量係数を,それを構成する要素に腑分けし解説した。