2015 年 64 巻 6 号 p. 409-415
頭頸部腫瘍の治療では,形態・機能温存のため,放射線療法が重要な役割を担っている。しかし,頭頸部領域に稀に発生する非扁平上皮癌はX線感受性が低いため,従来のX線による放射線治療では根治性が低いことが課題であった。粒子線治療は線量集中性に優れるため,リスク臓器への照射線量を低減しつつ,腫瘍に高線量を投与することが可能となる。さらに重粒子線(炭素イオン線)はX線と比較して生物効果が高いため,X線抵抗性とされる腺癌系腫瘍,悪性黒色腫,肉腫などに対する治療成績向上が期待される。