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64 巻 , 6 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
特集
粒子線治療
  • 中野 隆史
    2015 年 64 巻 6 号 p. 365
    発行日: 2015/06/15
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル オープンアクセス
  • 野田 真永, 村田 和俊, 中野 隆史
    2015 年 64 巻 6 号 p. 367-369
    発行日: 2015/06/15
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル オープンアクセス
    X線の発見から本年で120年経つが,その間,物理工学面の技術革新により放射線治療は格段の進歩を遂げた。粒子線治療は,速中性子線治療から始まり,現在では陽子線・重粒子線治療が世界で計57施設にて実施されるようになった。この粒子線治療の発展には1940年代以降の粒子線加速器開発技術の進歩が大きく関与している。
  • 加藤 弘之
    2015 年 64 巻 6 号 p. 370-376
    発行日: 2015/06/15
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル オープンアクセス
    粒子線治療は,X線に代表される他の放射線治療と,大きく異なる物理学的特性と生物学的特性を持っており,その特性を生かすことによって,従来の放射線治療と比べ,より低侵襲で,より局所効果の強い治療を行うことができる。現在,本邦では,粒子線治療として陽子線と炭素イオン線が用いられている。本稿では,粒子線治療について,その原理と特徴,長所や短所,さらには陽子線と炭素イオン線の違いについて概要を説明する。
  • 高橋 昭久, 吉田 由香里
    2015 年 64 巻 6 号 p. 377-381
    発行日: 2015/06/15
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル オープンアクセス
    粒子線がん治療は放射線生物学によって理論的に裏打ちされ,医工学の発展によって高精度化が進んでいる。ここでは粒子線がん治療における放射線生物学のこれまでの寄与と,(1)DNA損傷とその修復,(2)殺細胞効果,(3)転移におよぼす効果,(4)治療可能比について最近の知見を記す。最後に放射線生物学の果たす粒子線がん治療への展望について論じる。
  • 鳥飼 幸太, 想田 光
    2015 年 64 巻 6 号 p. 382-387
    発行日: 2015/06/15
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル オープンアクセス
    粒子線がん治療に用いられる加速器は,腫瘍に到達する25~30cmの体内飛程に相当するエネルギーとして,陽子で230MeV,炭素イオンで400MeV/u程度まで加速可能な円形加速器である。陽子線にはLoma Linda大学の構成に基づくシンクロトロンや,連続ビームで高い線量率が得られるサイクロトロンが利用される。重粒子線(炭素イオン線)には,放射線医学総合研究所のHIMACの各要素を小型化した小型炭素イオン線加速器が日本国内で普及し始めている。将来の更なる小型化の要求に対して,超電導による強磁場を利用した小型化や,レーザ加速による飛躍的な小型化の研究が進んでいる。
  • 鳥飼 幸太, 深田 恭平
    2015 年 64 巻 6 号 p. 388-393
    発行日: 2015/06/15
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル オープンアクセス
    粒子線治療を構成するシステムは,粒子を加速する機構から照射に用いる機器,治療の計画を立てる装置や治療全体の進行を調整する機構など多岐に及ぶ。本稿では,ビームが加速器から取り出された後,どのような過程を経て患者の病巣に照射されるかについて,ハードウェア,ソフトウェアそれぞれの側面から述べる。
  • 田代 睦, 島田 博文, 川嶋 基敬
    2015 年 64 巻 6 号 p. 394-399
    発行日: 2015/06/15
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル オープンアクセス
    広義での治療計画とは,これから行われる治療全般,すなわち入退院,検査,投薬,処置等の予定や計画といった意味でとらえられる。放射線治療分野における治療計画は,照射対象となるがん標的をX線CT(以下CTとする)画像上に設定し,体内の放射線による線量分布を確認しながら照射方法や線量を具体的に決定することである。ここでは,特に群馬大学で行われている重粒子線(炭素イオン線)治療における治療計画を中心に紹介する。
  • 遊佐 顕, 久保田 佳樹
    2015 年 64 巻 6 号 p. 400-405
    発行日: 2015/06/15
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル オープンアクセス
    放射線治療では,治療効果を上げ,かつ副作用やがんの再発を抑えるために,患者体内の腫瘍の位置に所定の線量を正確に投与することが求められる。粒子線治療はブラッグピーク(Bragg Peak)と呼ばれる粒子の停止点付近にできる高線量領域を標的体積に調整できる高度な放射線治療である。治療は各段階において,治療計画や線量,患者さんの位置決め,呼吸同期などに関する様々な検証,確認を行いながら進められる。各々施設ではその施設の実態にあったQAプログラムを作り,実行している。また治療法の今後の進歩に合わせて,QAの手法も発展させていかなくてはいけない。
  • 田代 睦, 石居 隆義
    2015 年 64 巻 6 号 p. 406-408
    発行日: 2015/06/15
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル オープンアクセス
    粒子線治療施設における放射線管理や防護は,医療施設であることから,放射線障害防止法に加えて医療法からの規制も受ける。X線撮影装置は医療法のみの規制を受けるが,加速器施設としての基本的な制約は一般的な放射線施設と同様である。ここでは,粒子線治療施設における放射線防護の観点から施設設計や運用について紹介する。
  • 齋藤 淳一
    2015 年 64 巻 6 号 p. 409-415
    発行日: 2015/06/15
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル オープンアクセス
    頭頸部腫瘍の治療では,形態・機能温存のため,放射線療法が重要な役割を担っている。しかし,頭頸部領域に稀に発生する非扁平上皮癌はX線感受性が低いため,従来のX線による放射線治療では根治性が低いことが課題であった。粒子線治療は線量集中性に優れるため,リスク臓器への照射線量を低減しつつ,腫瘍に高線量を投与することが可能となる。さらに重粒子線(炭素イオン線)はX線と比較して生物効果が高いため,X線抵抗性とされる腺癌系腫瘍,悪性黒色腫,肉腫などに対する治療成績向上が期待される。
  • 白井 克幸, 中野 隆史
    2015 年 64 巻 6 号 p. 416-421
    発行日: 2015/06/15
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル オープンアクセス
    粒子線治療(陽子線並びに重粒子線治療)はその良好な線量分布により,X線治療に比べ周囲のリスク臓器の線量を低減しつつ,腫瘍への高線量照射が両立できる。肺癌治療においては,X線治療の高精度化により成績向上がみられているものの,いまだに局所制御不良や周囲の正常組織への障害が問題となり,治療成績改善の障壁となっている。粒子線治療を用いた高線量照射によりさらなる局所制御の向上・副作用の低減が期待され,これまでに複数の臨床試験が報告されており,本稿にて概説する。
  • 渋谷 圭, 小山 佳成
    2015 年 64 巻 6 号 p. 422-426
    発行日: 2015/06/15
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル オープンアクセス
    原発性肝癌の多くを占める肝細胞癌の多くは慢性肝疾患を背景として発生するため,治療に際しては根治性とともに肝機能の温存が重視される。胆管細胞癌は近年増加傾向にあるが切除以外に有効な治療法が乏しく,あらたな治療法の開発が求められている。粒子線治療はその優れた線量分布特性により肝実質の障害を最小限に抑えつつ病巣周囲に限局して高線量を投与することが可能であり,高い根治性と低侵襲性を兼ね備えた新たな治療手段として期待されている。本稿では肝細胞癌を中心に現時点での粒子線治療の治療成績に関する知見を整理し,適応対象と今後の展望について概説する。
  • 清原 浩樹, 岡本 雅彦, 岡野 奈緒子
    2015 年 64 巻 6 号 p. 427-431
    発行日: 2015/06/15
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル オープンアクセス
    骨軟部腫瘍は外科切除が根治治療の第一選択であるが,切除不能な症例や手術によるQOL低下が大きい症例が少なくなく,また代替治療として化学療法やX線治療単独では根治に至らないことも多い。骨軟部腫瘍に対する重粒子線治療は2002年に臨床第I/II相試験の成績が報告されて以来,切除困難な骨軟部腫瘍に対する手術に次ぐ根治的治療として,良好な局所効果と高いQOLの維持の両立が可能という有望な治療効果が得られている。本稿では,骨軟部腫瘍に対する重粒子線治療成績を紹介する。
  • 岡本 雅彦, 清原 浩樹, 岡野 奈緒子
    2015 年 64 巻 6 号 p. 432-437
    発行日: 2015/06/15
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル オープンアクセス
    消化器に発生したがんは,消化管の耐容線量の低さから従来根治的な放射線治療の対象にはならなかった。しかし粒子線の良好な空間的線量分布により,消化管に原発したがんは依然として根治的な治療は難しいものの,消化管に囲まれるような臓器や領域の腫瘍へ治療の適応が広がっている。膵癌では切除可能例の術前照射,局所進行切除不能膵癌で,陽子線,重粒子(炭素イオン)線の有用性が報告されている。また直腸癌術後の再発病変に対しても9割を超える高い局所制御率が報告され,治療の選択肢の一つとなり得る。
  • 河村 英将, 久保 亘輝
    2015 年 64 巻 6 号 p. 438-442
    発行日: 2015/06/15
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル オープンアクセス
    前立腺癌の放射線治療は強度変調放射線治療などX線照射技術の向上に伴って根治療法として位置づけられるようになった。陽子線治療はその線量分布の良さから当初はX線との併用によるブースト照射として用いられ,その後単独で線量増加を目的に用いられてきた。重粒子線(炭素イオン線)治療はその優れた生物学的効果から治療成績の向上が期待され,さらに短期照射が試みられている。いずれも良好な局所制御と低い有害事象発生率が報告されている。
  • 若月 優, 柴 慎太郎, 鎌田 正
    2015 年 64 巻 6 号 p. 443-449
    発行日: 2015/06/15
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル オープンアクセス
    放射線医学総合研究所では1995年から局所進行子宮頸癌を対象に八つの臨床試験で約200名の患者に重粒子線(炭素イオン線)治療を行ってきている。子宮頸部扁平上皮癌及び子宮頸部腺癌に対して良好な成績が挙げられてきている。現在は治療成績の更なる向上を目的として化学療法併用の重粒子線治療の臨床試験が行われている。また有害事象に関しては,初期の症例で重篤な有害事象が出現したが,その結果を解析して腸管線量の制限・治療方法の工夫を行うようになり,現在では腸管の重篤な有害事象を出さない治療技術が確立されている。
  • 田巻 倫明, 中野 隆史
    2015 年 64 巻 6 号 p. 450-453
    発行日: 2015/06/15
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル オープンアクセス
    粒子線治療施設数は世界的にも増加傾向にある。日本はその中でも粒子線治療の先進国の一つであり,炭素イオン線治療は4施設,陽子線治療は10施設で行われている。人材育成は重要であり,群馬大学でのグローバルリーダー養成プログラムをはじめ,様々な努力がなされている。今後,粒子線治療の有用性は,将来の包括的がん医療の枠組みで検討され,明らかにされていくことが望まれる。
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