2015 年 64 巻 6 号 p. 422-426
原発性肝癌の多くを占める肝細胞癌の多くは慢性肝疾患を背景として発生するため,治療に際しては根治性とともに肝機能の温存が重視される。胆管細胞癌は近年増加傾向にあるが切除以外に有効な治療法が乏しく,あらたな治療法の開発が求められている。粒子線治療はその優れた線量分布特性により肝実質の障害を最小限に抑えつつ病巣周囲に限局して高線量を投与することが可能であり,高い根治性と低侵襲性を兼ね備えた新たな治療手段として期待されている。本稿では肝細胞癌を中心に現時点での粒子線治療の治療成績に関する知見を整理し,適応対象と今後の展望について概説する。