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硫化銅を捕集剤として用いる微量元素の分離濃縮
鎌田 仁氏平 祐輔福田 克顕
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1965 年 14 巻 3 号 p. 206-211

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抄録

水溶液中に数μg/50mlで存在する金, 銀, 銅, 水銀, 亜鉛, タリウム, ヒ素, アンチモン, コバルト, パラジウムおよび白金を硫化銅 (Cu-1mg) を捕集剤として用いて分離濃縮するさいの基礎的資料を集めた。各種標準放射性溶液をビーカーにとり, 銅溶液を加え硫化ナトリウム溶液を添加し, 生じた沈殿をロ別してロ液または沈殿の放射能強度を井戸型シンチレーション・カウンターで測定し, 同時に測定した標準の放射能と比較して共沈率を求めた, 白金およびパラジウムは比色法によった。
1N硝酸酸性で金, 銀, 銅, 水銀, 白金, パラジウム, ヒ素は完全に, またpH9で亜鉛, コバルトが定量的に共沈した。銅以外の担体によっても共沈率は変わらなかった。塩素イオンが共存しても共沈率に変化はなかったが錯化剤の共存によって共沈率は低下した。硫化物沈殿の方法としてチオアセトアミドによる均質沈殿法を用いても共沈率に変化が認められなかった。沈殿の処理法としてはしゃく熱灰化の方法によった。応用例として銅, 鉛, 亜鉛, ニッケル, マンガン中の微量金, 銀, 水銀を分離濃縮して満足な結果を得た。

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