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水和した二酸化マンガンによるマイクログラム量元素の共沈捕集とその挙動
氏平 祐輔鈴木 良実
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1971 年 20 巻 9 号 p. 427-432

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抄録

2MnO-4+3Mn2++ (n+2) H2O→5MnO2・nH2O+4H+の反応で生成する水和した二酸化マンガンを捕集剤に用いて, μg量の元素の共沈について検討した。きわめて多数の元素が水和した二酸化マンガンによって共沈捕集されることがわかったが, 共沈の挙動は元素によって異なっており, つぎの5群に大別された。タングステン (VI, WO2-4) , ヒ素 (V, AsO3-4) 群は0.1~6N硝酸酸性溶液から完全に共沈した。アンチモン (V, SbO3-4) , イリジウム (VI, IrO2-4) 群は0~1N硝酸酸性溶液から完全に共沈するが, 酸濃度の上昇とともに共沈率が少しずつ減少した。鉄 (III) , インジウム (III) 群は0.1~1N硝酸酸性溶液から完全に共沈するが, 酸濃度が1N以上になると共沈率が急激に減少した。2価のコパルト, 銅, 亜鉛の群はpH1.5~2.0 (0.01N硝酸酸性) 以下では共沈しないが, pHが4以上では完全に共沈捕集された。セシウム (1) 群はいかなる液性においてもまったく共沈しなかった。陽イオンおよび錯化剤の共存の効果についても検討し, 結果について考察を加えた。

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