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環境水中トリチウム濃度測定の簡素化
―電解濃縮を用いた際の逆浸透膜による溶存イオン除去―
小金澤 孝之飯田 孝夫緒方 良至辻 成人垣内 正久佐竹 洋山西 弘城佐久間 洋一
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2004 年 53 巻 5 号 p. 277-285

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抄録

近年開発された固体高分子電解質膜式電解濃縮装置は電解の際に電解質を加える必要がなく, その利点を活かすため, 電解前の試料水の蒸留を濾過にて代替し, 電解後の蒸留を省略する方法を提案し, 検討した。純水を用いた実験により, 電解装置からの溶出イオンはトリチウム濃度測定に影響がないことを確認した。電解前の蒸留の代替法として逆浸透法と精密濾過法を用いて河川水などの環境水中トリチウム濃度測定を行った。精密濾過では試料水中の溶存イオンが除去できず, 電解装置の電極や電解質膜に付着及び吸着し電解装置の故障を招いたが, 逆浸透法では故障しなかった。どちらの濾過法もトリチウム計測への影響がないことを確認した。電解の前処理に逆浸透法を用い, 後処理を割愛することで, 電解前後の処理時間を2日間程度から1.5時間程度に短縮することができた。液体シンチレーション計測法による電解濃縮法を必要とする環境水中トリチウム濃度測定法を簡素化できた。

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