2024 年 28 巻 1 号 p. 124-127
持続可能な鉄道の実現には保守業務の効率化が不可欠であるが,実効性あるデジタル技術の導入に不可欠となる既存業務の系統横断的な整理と共有はなかなか進んでいない.四国旅客鉄道株式会社では鉄道総合技術研究所との共同研究により既存保守業務の実態調査を全系統で実施し共有と整理を進めている.本研究はこのうち土木系統の実態調査結果および省力化の方針を示す.実態調査では検査自体のほか移動に時間を要する土木保守の特徴に加え,JR四国特有の瀬戸大橋区間の検査などに人工を要する状況を示した.また,保線系統が有する軌道変位を利用した橋りょう支承あおりの検知手法,他系統で実施予定の列車前方画像を活用した駅ホームの高さ・離れ計測手法の開発を保守省力化の方針として示した.