2024 年 28 巻 1 号 p. 176-183
延長の長い線状構造物である鉄道構造物の設計において,一般的な鉄道橋脚やラーメン高架橋は,多くの場合,単純な1質点系に置き換えた非線形応答スペクトル法により耐震設計を行っている.この手法で通常用いられる所要降伏震度スペクトルでは,系の減衰定数としてh=0.04/T(0.1≦h≦0.2)を想定しており,応答値もそれに対応したものとなる.近年の研究で,構造物の1次モードの地上部と地中部の振幅比から減衰定数を評価し,非線形応答スペクトル法の枠組みに取り込んでL2地震時の応答を評価する手法が提案されている.今回,本手法を適用して整備新幹線の高架橋の設計を行った.その結果,通常の所要降伏震度スペクトルを用いた場合と比較して設計が合理化される傾向を確認した.