2025 年 29 巻 1 号 p. 85-92
地方鉄道では設備維持管理の省力化が喫緊の課題となっている.レール間の電気的接続を担うレールボンドは数が多く,検査頻度も高いため,実態に応じた管理の合理化が重要である.一方これまで,台帳の管理単位やデータ欠損により,一般的な指数ハザードモデルによる分析では異常発生頻度を精度よく把握できなかった.本研究では,レールボンドを管理する電気系統のデータに加え,保線系統の台帳・検測データを系統横断的に活用したデータセットの構築法を提案する.さらに,実路線の2,092本のレールボンドへの適用を通じて,系統横断でのデータ活用による異常発生頻度の分析精度の向上効果を実証的に示す.