2026 年 30 巻 1 号 p. 187-195
都市部鉄道沿線の切土箇所では,既設土留擁壁の背面近傍に用地境界が存在する場合が多く,地山補強材を壁体前面から打設する従来工法は,用地上の制約から適用が困難となる場合がある.このような課題に対し,地山補強材を擁壁背面側から鉛直に対して急角度15°で打設し,壁体上部において一体化する耐震補強工法を実構造物に適用した.設計においては,ニューマーク法による応答変位の算定および静的非線形解析をもとにした部材照査を実施し,地山補強材および擁壁上部と地山補強材を一体化するRC梁の仕様を決定した.施工においては,擁壁上部に仮設足場を設置するとともに小型削孔機械を用いることで狭隘な環境においても昼間施工を実現し,従来工法と比較して施工性,工期・工事費の面で高い有効性を確認した.