日本信頼性学会誌 信頼性
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Sess.1-2 「信頼性技術における人間意識の役割」懇談会の活動内容と目標(第13回信頼性シンポジウム)
濱野 恒雄
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2000 年 22 巻 8 号 p. 11-14

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抄録

私は夙に「技術=工学+人間」の認識の元に、産業事故には工学的根本原因だけでなく人間的根本原因にまで踏み込まなければ、真の再発防止は覚束ないことを指摘し主張してきた。人間的根本原因とは言い換えれば、事故当時者の「心・意識」に他ならない。私は当学会のあり方として、信頼性・安全性の実現に関わることであれば、論ずべきことは「工学」に限定されるべきではなく、「人間」の分野を論じなければならないこと、それをまさに我々信頼性技術者が自ら行わなければ、「工学と人間の一体化した認識」は生まれないことを主張して、この6月に上掲の研究懇談会を立ち上げ、現在4回目の会合を終えたところである。本報告では、この会合の活動内容と目標の展望を報告するものである。現在数種の事故例を取り上げ、人間的根本原因へ踏み込むための「観点」や「分析手順」について検討中である。この問題は既に1997年の本シンポジウムで報告したもので、本研究懇談会ではそれを会員の眼で検討し、「方法論」として完成させたい。それは、いわゆる「失敗学」のベースを形成するものと、位置づけられる学問である。

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© 2000 日本信頼性学会
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