日本化学療法学会雑誌
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新しいキノロン薬, pazufloxacinの痙攣誘発作用とGABA受容体結合に及ぼす影響
堀 誠治金光 敬二嶋田 甚五郎
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1995 年 43 巻 Supplement2 号 p. 128-131

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抄録
キノロン薬が痙攣誘発作用を有する可能性が指摘されている。我々はキノロン薬が中枢神経系において抑制性伝達物質と考えられているγ-アミノ酪酸 (GABA) の受容体結合を阻害することを示し, キノロン薬による痙攣誘発にGABA受容体結合阻害の関与している可能性を示してきた。また, 非ステロイド系消炎薬の共存下ではキノロン薬によるGABA受容体結合隙害効果が増強されることを示してきた。本稿では新キノロン薬であるpazufloxacin (PZFX) のGABA受容体結合に及ぼす影響を検討した。PZFXは, 10-3MまでGABA受容体結合を阻害しなかった。また, ビフェニル酢酸共存下でもそのGABA受容体阻害効果は増強されなかった。さらに, マウス脳室内投与により痙攣誘発作用を検討した。PZFXの痙攣誘発作用は弱く, またビフェニル酢酸同時投与によってもその痙攣誘発作用は増強されなかった。以上よりPZFXは痙攣誘発作用の極めて弱いキノロン薬である可能性が示された。
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