抄録
この試論では,系の信頼性,ディペンダビリティの概念拡張を意図したもので,幾つかのシステム障害の観察と分析から,障害発生の予知情報の見逃しと発生時の障害影響規模の拡大要因の主要な部分に系に係わる人間系要素があることに気付く.ここでは,人間系とは特定の人的要素とそれらを取り囲む組織機能,規則,手順,等の諸関連行為総てを範疇と規定する.そのとき,系の一要素としての人間系に不適切を見る.多くの場合は系の初期導入段階での適性が固定されて,系の運用頻度と時間経過とともに機能的劣化と不適切が発生している.人間系は一面,優れた適応性の下にその変化に気付かないまま経過する.この現象とそこに発生している諸問題解決をディペンダビリティプログラム管理とそこに用意されている諸道具立てを適用することで問題解決への道を見出そうという試みを新たなディペンダビリティの適用範囲の拡大の可能性として提案する.