日本信頼性学会誌 信頼性
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有機ELパネルの故障解析ツール(ナノテクノロジー時代の故障解析技術と解析ツール)
赤津 光俊
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2006 年 28 巻 3 号 p. 181-186

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抄録

エレクトロニクス製品の故障解析は,(1)故障情報の収集,(2)故障部位の絞込み,(3)故障の確認と物理分析,(4)故障メカニズムの特定と再発防止への対策,という4つ仕事で構成される.近年では試料の微細加工技術の進歩と分析装置の技術革新により,特定の微小領域であっても,精細な観察や高精度な分析が可能になりつつある.一方で,多層構造や複合材料の採用,プロセスの微細化などが,故障部位の正確な絞り込みをより困難な作業とさせている.有機EL素子は,電流が流れる素子の深さ方向に100nm程度の有機薄膜が積層された構造を持ちながらも,人間が発光を捉える素子の横方向には数100μmから数10mmを超える広がりを有する素子で,物理分析を行う前の故障部位の正確な把握,つまり故障部位の絞り込みが極めて困難な素子である.本稿では,有機EL素子の故障が,素子内部での発光を伴うリーク電流に強く関連を持つことに着目し,シリコン半導体の故障解析に有効なエミッション顕微鏡技術を応用した有機ELパネルの故障部位絞込みツールの概要と,その解析事例について紹介する.

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© 2006 日本信頼性学会
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