抄録
本論文では,情報社会を支える重要なインフラである金融情報システムの事故に着目し,新聞報道はどのような事故を取り上げて,どのように人々に伝えているかについて現状を把握することにより問題点を明らかにする.まず,多数の事故の中からニュースとして報道するか否かの選択を決めている要因を現状分析により引き出す.次にこれらの事故の重大性を利用者への影響の大きさで4レベルに分け,重大性に着目してニュース性との関係を分析する.その結果,利用者にとっての重大性と報道する側のニュース性との間に一部乖離があることを示し,特に重大性が高くてもニュース性が低く報道されている事例についてその要因を分析し,それらの要因について利用者の視点で改善の必要性などの考察を行い,最後にそれらの報道に関して改善すべき点をまとめる.