日本信頼性学会誌 信頼性
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NBTI劣化モデルの最新動向(CMOS技術の限界,課題,新しい展開)
大日方 浩二
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2011 年 33 巻 4 号 p. 164-169

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抄録

先端MOSプロセスの信頼性では,微細化に伴うゲート酸化膜の薄膜化によりトランジスタの信頼性問題が健在化している.その中でも,PMOS FETの負バイアス温度不安定性(NBTI:Negative Bias Temperature Instability)は,PMOS FETのトランジスタ特性を劣化させる最も重要な信頼性問題と認識されている.先端MOSプロセスで起こるNBTI現象は,速い回復現象が観察されるなどNBTI特有の劣化現象が起こり,メカニズム解明のために様々な劣化モデルが提案され議論されている.NBTIの基本的な劣化メカニズムは,スロートラップ現象と呼ばれていた1970年代から研究されてきた拡散-反応モデル(R-D model)が広く支持されている.しかし,先端プロセスのNBTI劣化を測定する中で,ストレスをOFFにすると短時間で特性が回復する現象が観察されることがわかり,電荷の捕獲/放出が劣化に関与する劣化メカニズムも広く研究されてきた.本稿では,NBTI劣化モデルの研究動向について,正孔の捕獲/放出現象が関与するとした最新の正孔トラップモデル(Hole Trap Model)を中心に解説する.

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© 2011 日本信頼性学会
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