抄録
生産現場で機械による挟まれ,巻き込まれ等の災害は重篤となる場合が多いにも関わらず,これまでは作業者の教育,規制の強化で対応してきた.我が国にも欧州における機械安全の思想が導入され2001年に「機械の包括的な安全基準に関する指針」が公表(2007年に改訂)された.機械設備のリスクを明確にし,リスクレベルにあった機械自体の安全確保を機械安全の国際規格に基づいて技術的な方策を行うことを求められている.安全技術応用研究会は,機械安全をこれまでの人に委ねる安全から技術で構築する安全の必要性を痛感していた企業が集まり1992年に発足した.機械安全の国際規格で求めている技術や安全の基本原則について論理的に研究し,その成果物を基に機械の安全技術構築のための出版,講習会を通して機械安全の普及を企業横断的に進めてきた.本稿では安全技術応用研究会の発足から現在までの活動を通して企業横断的に進めてきた機械安全の人材育成について紹介する.