抄録
現代社会では,大規模化する様々なシステムがネットワークモデルを用いて表現される.大規模なネットワークシステムの最適設計を行うためには,高速な計算機を用いても多くの時間を必要とする.そのため,高速に信頼度や流量を計算する手法の提案に加え,最適構成となるネットワークの性質を考察する事は,ネットワークシステムの最適設計問題を解く上で有用である.そこで本稿では,ネットワークの全点間信頼度の下限を満たした上でコストが最小となるネットワークを最適設計とする"信頼度条件付きコスト最小問題"に注目し,分枝限定法を用いた最適設計導出アルゴリズムを紹介する.加えて,最適設計の計算過程で必要となる全点間信頼度の計算の高速化を図るために,全点間信頼度が最大となるネットワークの最適構成について,これまでの研究成果を示す.