2014 年 36 巻 8 号 p. 448-453
日本の国際宇宙ステーションの実験棟「きぼう」は,2008年の宇宙空間への打上げ/組立て起動以降,現在に至るまで,大きな事故を起こすことなく,宇宙実験の場として利用されてきている.日本が初めて本格的に有人宇宙システムとして取組んできた「きぼう」の開発段階において,JAXAを中心にシステム安全活動が展開されることにより,ハザードの発生を未然に防ぐための解析・検討が行われ,安全が設計に盛り込まれている.国際宇宙ステーション計画は,米国NASAの有人宇宙システムに対する標準・要求を適用することで始められたが,それ以降,日本としての独自の活動を並行して展開し,安全・開発保証の分野においては,標準・要求を自ら整備し,設計結果を審査するレベルまでになり,自立した活動を実施してきている.ここでは,「きぼう」等に関するシステム安全活動を紹介し,民間への展開,並びに今後の方向に関する考察を紹介する.