抄録
制御システムには様々な構造と機能があり,IEC規格の定義に沿ったアベイラビリティの一般性・汎用性の高い解析の枠組みの構築は難しい.本論文では,LFT表現を用いることで様々な構造に対応し,また,マルコフ解析の際の状態遷移図上で制御システムの機能が維持されている状況に対応する"available state"を考えることで,機能の違いをマルコフ解析に反映させる.そして,広いクラスの制御対象に対する様々な構造・機能を有するシステムを扱うことができ,また,故障を内包しているシステムの中で機能が維持されている部分だけに注目した解析も可能な枠組みを提案する.アベイラビリティ性能指標値としての定常アベイラビリティを解析結果とするこの枠組みにより,様々な手法で実現される制御システムのフォールトトレランスの定量的な評価が広く可能になった.