日本信頼性学会誌 信頼性
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信頼性予測手法の技術的変遷
木村 忠正
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2018 年 40 巻 6 号 p. 334-343

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抄録

1956 年にアメリカで発行された MIL-HDBK-217 は,フィールド,試験等で集められた個々のデバイスの統計的に処理した故障率をベースに,機器/システムの信頼性予測手法を定めたものである.しかし,技術の進歩にデータの更新が追随できない,一定故障率やアレニウス則の適用等に問題があり,故障率計算結果が実際のフィールドデータと大きく乖離するという問題を生じた.一方,故障のメカニズムに立ち戻って劣化とストレスの関係を求めるという故障物理に基づく信頼性予測手法の開発が進められた.この手法はより正確な信頼性予測が可能,設計にも有用であり,現在,信頼性評価手法として主要な位置を占めている.しかし,大規模システムでは,故障モードすべてに対し故障メカニズムが明らかでない,解析が複雑で高コストであるという問題がある.近年,情報処理及びセンサ技術の急速な進歩により,フィールドでのシステム/デバイスに加わるストレスと健康(劣化)状態を in- situ でモニタ,解析が可能となってきており,この技術は,プログノスティック・ヘルス・マネジメントによる保全,余寿命評価に利用されている.さらに,電子機器/部品のフィールドからの貴重なその場(in-situ)データ利用が可能となれば,信頼性評価手法,設計等の根本的な改革に新たな展開をもたらすと期待される.

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© 2018 日本信頼性学会
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