抄録
品質や信頼性を築くための活動は人が行うことが前提となる.そのため,関わる人がその能力を発揮して確実に作業を行い,組織全体として期待される成果を出すことが必要である.その活動の場となるビジネス環境は,労働環境の多様化や,デジタル・トランスフォーメーションと言われるような新しいビジネスモデルが次々と出てくる環境にある.当然ながら品質や信頼性を築く活動も,この大きな環境の変化に合わせた活動が要求される.大きな変化に対応するためには,リーダーや有能な一部のチームメンバーといった「個の力」に頼るのでは限界を来たす.チーム全体が効果的なコラボレーションを行って成果を出すことが必要である.このためのチーム活動を意識したリーダーシップが脚光を浴びつつある.リーダーシップは 1900 年代より研究され,リーダーに焦点をあてたものが主体であった.その後,コンセプト理論として如何にチームをエンパワーするのかという観点が中心となってきている.当論文では,このような流れを踏まえ,品質や信頼性を築くためのチームを活かすリーダーシップについて解説を行う.