2020 年 42 巻 1 号 p. 32-37
自動運転のための技術は,現時点ではまだ確立途上の新しい技術である.自動運転技術を確立するために,実社会での実証実験,実運用等によって信頼性,安全性を高めることが必要であり,我が国においても路線バスの自動運転実証実験を始めとした様々な取り組みが開始されている.一方,それに伴い自動運転による事故も散見されるようになった.米国では自動車の自動運転で数件の死亡事故が発生している.自動運転による危害のリスクを管理し適切な安全性を確保するために,効果的なリスクアセスメントの実施,機能安全,多重防護,SOTIF(Safety of the Intended Functionality)の考慮などがなされることが期待される.
本稿では,鉄道の自動運転,公道を走行する低速自動運転車,高速道路での自動運転車の事故事例を通して自動運転の安全性に係る課題を考察する.