日本信頼性学会誌 信頼性
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42 巻, 1 号
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展望 「自動運転の安全・信頼性」
  • 佐藤 吉信
    2020 年42 巻1 号 p. 2-9
    発行日: 2020/01/01
    公開日: 2025/08/29
    ジャーナル フリー

    自動運転に向けた安全の考え方とその標準化について展望している.まず,自動運転に向けたリスクアセスメントとリスク対応とに必要なリスクの分類方法,機能安全及びSOTIFについて述べている.次に,機能安全が不具合リスク・メタリスクを,SOTIFが限界及び対象外リスク・メタリスクを対象としてリスク対応を可能とさせることを論述している.また,自動運転における多重防護層の各層への人工知能(AI)実装の可否について考察している.最後に,当該多重防護層に関して,具体的な危険事象率の推定とSILの決定方法を提示し,自動運転の普及にともなう危険事象率の推移を推定している.

  • 高田 博
    2020 年42 巻1 号 p. 10-17
    発行日: 2020/01/01
    公開日: 2025/08/29
    ジャーナル フリー

    交通・物流機械のすべてで自動運転の検討が始まっている. 自動運転は,CASE(C :通信A :自動運転S :シェアリングE :電気自動車)の一つとして100年に一度の大変革をもたらすと言われている.自動運転は,革新的な技術であって,社会受容にはかなりの困難が予想されている.社会受容において重要な安全と信頼性をいかに保障していくかが問われている.本稿では,交通・物流機械に関して横断的に概観を試みる.

  • 池田 博亨, 川野 卓
    2020 年42 巻1 号 p. 18-25
    発行日: 2020/01/01
    公開日: 2025/08/29
    ジャーナル フリー

    鉄道における自動運転化は,国内では既存路線を含む都市鉄道や地下鉄,新交通システムで約40年前から実施されており,海外でも数多くの事例がある.また最近では人口減少や自動車の自動運転の実用化に向けた動きが急速に進むなどの社会的背景のほか,ヒューマンエラーに起因する事故の防止や省エネルギーでの運行に加え,最新の技術を活用することにより,既存路線へのドライバレス運転や無人運転といった高度な自動運転が実現すれば,列車増発が柔軟に対応できることなど,さまざまな効果が期待できることから関心が高まっている.

    高度な列車制御技術やセンシング技術など,最新の技術を活用することによる鉄道における自動運転化への取組みと,これらシステムに必要な安全性・信頼性確保の考え方について述べる.

  • 伊藤 誠
    2020 年42 巻1 号 p. 26-31
    発行日: 2020/01/01
    公開日: 2025/08/29
    ジャーナル フリー

    レベル3の自動運転に対しては,否定的な意見が述べられることが多い.しかし,人とシステムのそれぞれの得意なことを活かし,補完しあう自動運転は,レベル3においてのみ実現可能であるはずである.本稿では,レベル3の自動運転について,手動運転への引継ぎの難しさを確認するとともに,手動運転への引継ぎだけが唯一の介入ではないことを指摘する.その上で,「レベル3」としてのシステムの制御が継続になった状況について,ドライバの関与を求めなければならない場合とそうでない場合との区別が必要であることを示す.これらを通じて,レベル3 のシステムとして今後検討すべき課題を明らかにすることを試みる.

  • 川島 興
    2020 年42 巻1 号 p. 32-37
    発行日: 2020/01/01
    公開日: 2025/08/29
    ジャーナル フリー

    自動運転のための技術は,現時点ではまだ確立途上の新しい技術である.自動運転技術を確立するために,実社会での実証実験,実運用等によって信頼性,安全性を高めることが必要であり,我が国においても路線バスの自動運転実証実験を始めとした様々な取り組みが開始されている.一方,それに伴い自動運転による事故も散見されるようになった.米国では自動車の自動運転で数件の死亡事故が発生している.自動運転による危害のリスクを管理し適切な安全性を確保するために,効果的なリスクアセスメントの実施,機能安全,多重防護,SOTIF(Safety of the Intended Functionality)の考慮などがなされることが期待される.

    本稿では,鉄道の自動運転,公道を走行する低速自動運転車,高速道路での自動運転車の事故事例を通して自動運転の安全性に係る課題を考察する.

編集後記
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