2021 年 43 巻 1 号 p. 35-41
労働安全は,グローバル社会,少子高齢社会,技術革新,持続可能社会など,企業を取り巻く状況の変化に伴う様々な課題を抱えている.これらの課題に対し,労働法からの取組みや現場管理からの取組みなどにより様々な取組みがなされている.このような各分野の取組みにもかかわらず,いまだに労働災害による死亡者が絶えることはない.
事故は停止が遅れた結果であり,安全は事故の前に遅れないように止めることといえる.そこには明確な論理が求められる.ここでは,労働安全を発生件数や度数率など統計的にとらえるのではなく,システム安全の観点から基礎的条件を示すとともに,労働安全のマネジメントとリスクアセスメントについての課題を示した.