2021 年 43 巻 3 号 p. 139-144
トリウム熔融塩炉は熔融塩中に溶かし込んだトリウムの核分裂により熱エネルギーを取り出す炉である.従って,この炉は固体燃料棒を用いる軽水炉とは異なった簡易な構造を有する.この違いは燃料効率,発電効率に大きな差をもたらし又,安全に核分裂生成物を処理する手法を確立している.最大の特徴は事故における原子炉の核分裂連鎖反応の停止保全を機器と共に自然の原理に委ねた処理ができることであり又,熔融塩中にPuを溶かし込むことでPu削減を安全に効率的に処理できることにある.更に,熔融塩炉の構造は小型化が実現でき,次世代の原子炉としての有力な候補と期待できる.