抄録
本研究の目的は,幼児が規範の必要性を他者との関係を通していかに理解していくのかを明らかにすることである。幼児が他者に許可を求める発話に着目して,異なる2年度にわたる4歳児クラスを観察した。そしてエピソードを(1)幼児が規範の判断基準として参照する他者関係の構造,(2)幼児が自ら規範の必要性に気付いていくための援助について検討した。その結果,幼児が大人の権威を参照するばかりでなく,他児に対してもその意図を参照していること,さらに許可を求められた際の保育者の応答が,幼児白身に考えさせ,自ら規範の必要性に気付かせる援助につながることが明らかになった。本研究の知見をもとに,年齢・時期や保育者の応答による変容について今後検討する必要がある。