保育学研究
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原著<論文>
幼児のゲーム遊びに生じる「ずる」の実態と仲間との相互交渉による意識の変容
―縦断的観察からのエピソード分析から―
湯浅 阿貴子
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2015 年 53 巻 3 号 p. 248-260

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抄録

本研究の目的はゲーム遊びで生起した「ずる」の場面に着目し,「ずる」が継続的に観察された幼児の行動記録から行動の変容プロセスを明らかにした。その際,他者との相互交渉が幼児の意識及び行動の変容を促す要因と繋がっているのかについて検討した。結果,(1)望んだ状況にするための「ずる」が一定期間繰り返されることによって周囲が疑問を抱くようになる,(2)周囲の幼児が「ずる」に対して疑問や不満を抱き,指摘するようになる,(3)「ずる」を行う幼児が指摘を受け,自身の行動の意味や結果について考える機会を得る,(4)突然変化するものではなく徐々に変容していく,という4つの段階を経ていることが明らかとなった。

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© 2015 一般社団法人 日本保育学会
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