2016 年 54 巻 2 号 p. 95-106
本研究では,児童養護施設の児童に対する心理的・行動的支援の一環として臨床美術による介入を行い,その実践を通して,児童の行動や情緒に肯定的な変化が認められるか否かについて検証することを目的とした。
施設に入所する 32 名の児童を対象として,介入群と非介入群とに分け,介入群には計 8 回からなる臨床美術のセッションを行った。介入前後の CBCL を比較した結果では,介入群において CBCL 総得点をはじめ,内向尺度および攻撃的行動尺度に肯定的な変化が認められた。また,支援員や教諭の報告にも,介入後に肯定的な変化が認められる児童が含まれていることが示された。