2017 年 55 巻 1 号 p. 55-67
本研究では,「学びの物語」の記録,評価による,半年間の障害児保育実践の経過を辿ることにより,信頼モデルによる記録,評価と保育実践の関連を検討することを目的とした。物語の作成初期は,保育者は子どもの学びの構えを積極的に見出す一方で,未熟な行動や問題点を指導によって改善することを目指す,従来の視点で振り返りを行っていた。しかし,作成を積み重ねるにつれて,保育環境の調整によって,遊びや仲間関係が充実することを目指す視点で振り返りが行われるようになり,実践が展開した。結果から,障害児保育実践における信頼モデルによる記録,評価の意義について論じた。