2017 年 55 巻 2 号 p. 29-39
本研究は,ゲーム遊びに生じる「ずる」への保育者のかかわりについて明らかにすることを目的とした。10名の保育者の逐語録をM-GTAによって分析し,保育者の実践知を図式化した。その結果,保育者のかかわりは《実態を把握する》カテゴリーから《かかわり方の判断》カテゴリーを通して,《教育的かかわり》カテゴリーへと段階を経ていることが示された。そして,保育者は個々の幼児のルールに対する認識によってかかわり方を変化させており,「ずる」に対して問題意識をもつ幼児が出てくる時期を指導の基点としていた。「ずる」に対するかかわりは,〈権威的かかわり〉と,〈認知葛藤的かかわり〉を中心としていることが明らかとなった。