本論文は,幼稚園5歳児は他児の対人葛藤場面に対し,必ずしも解決に至らなくてもなぜ介入を試み続けるのかということを明らかにした。その手法として,5歳児の対人葛藤場面におけるフィールド観察を行った。
5歳児は,単純な対人葛藤場面しか解決できず,解決に至った事例は少数であったが,頻繁に介入はしていた。5歳児は葛藤状況を理解できない場合にも,介入児同士が情報収集し,意見交換して,葛藤を終結させようと努めていた。また,5歳児は,当事者に葛藤の原因を正確に理解させようとしたり,当事者を何とか説得しようとしていた。さらに,5歳児の介入によって,当事者同士の関係修復や遊びの継続などの状況転換が図られていた。
これらの結果から,5歳児にとっては,葛藤を解決させること以上に,困難な葛藤場面において状況転換や当事者の心情理解を図り,試行錯誤して介入すること自体に意義があることが示唆される。
抄録全体を表示