2018 年 56 巻 1 号 p. 11-20
待機児童問題を背景に保育所が急増するなか,保育の質の低下が懸念されている。本稿では,保育の質確保に向けた海外の保育評価の動向をふまえて,日本の保育評価の課題について考察した。
日本では主に,有資格者の配置と自治体の実地検査で保育所の質確保を目指しているが,保育士は不足しており,保育所が急増している自治体では実地検査実施率が低くなっている。海外では,全国の保育所の質を定期的に評価し,その結果を公表する保育評価機関を設置する動きや,保育評価に子どもや親が参画する動きがある。日本においても,全国の保育の質を評価する機関を設置し,全施設に評価の定期的な受審を義務付けることや,保育評価に親や子どもの参画を促すことに向けた検討が期待される。