抄録
地球環境問題が各地で注目を集めるなか,国連はESDの必要性を訴えてきた。そこでは,ESDが生活のあらゆる場面において取り組まれるべきものであり,その実践を実りあるものにするためには,当の実践を支えるための哲学的理念が必要であることが指摘されてきた。そこで本論では生活に埋め込まれたESD実践を支える哲学的理念に資するものとしてノディングズのケアリング論を取り上げ,ケアリング論の視座から幼児教育の文脈におけるいくつかの事例を検討した。検討の結果,ノディングズのケアリング論は生活に埋め込まれたESD実践を支える哲学的理念とその実践的可能性についての1つの示唆を提供し得ることが明らかになった。