抄録
本論は就学前教育と初等教育という異なる制度的文脈の移行に伴う段差の経験を,それぞれのフィールドに張り巡らされたフォークペダゴジーの差異という概念的視座のもとに整理した上で,この段差の超克をJ. S.ブルーナーの意味生成の行為という着想のもとに捉え直すことを試みたものである。意味生成の行為という視座を通して我々は,就学前教育と初等教育の連携と滑らかな接続に向けた展望は,子どもたちと教育の現場とが互いに異なる当たり前さを抱えたまま出会うことによって生じる葛藤や摩擦の経験を「乗り越え得る段差」として理解し直し,ともに新たな学びと生活の物語を創り出していくための可能性の文脈を探索する過程として描き直される必要があることを論じた。