本研究の目的は,個人の生活習慣のみならず,住環境の観点からも検討したうえで,高血圧有病率の地域差に寄与する要因を探索することにある。対象者は,治療中および未治療の高血圧有病者である。目的変数は,都道府県別の高血圧有病率とした。説明変数として,都道府県別(男性)の肥満,塩分摂取量,野菜摂取量,飲酒習慣,喫煙習慣,1日当たり歩数のデータを用いた。住環境データとして,鉄道駅数,普通自動車利用,軽自動車利用,可住地傾斜度を用いた。医療環境に関連する変数として,特定健診受診率,医療施設数を用いた。これら変数を用いて相関分析を施したのち,ステップワイズ法による重回帰分析を行った。高血圧有病率に対し,歩数と特定健診受診率が有意な負の相関を,軽自動車利用と可住地傾斜度が有意な正の相関を示した。歩数に対し,住環境と関連する変数として鉄道駅数が有意な正の相関を,普通自動車および軽自動車利用が有意な負の相関を示した。重回帰分析の結果,歩数は高血圧有病率に対し最も強い影響を及ぼしていた。住環境に基づく歩行習慣の違いが,日本の高血圧有病率の地域差と関係していた。